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抄読会記録

東京医科大学救急・災害医学では毎週月曜日朝7時45分から抄読会を行っています。
常勤スタッフと研修医が1題ずつ担当しています。

最新の記録

2015年5月25日
文献: Holcom JB, Tilley BC, Baraniuk S, et al. Transfusion of plasma, platelets, and red blood cells in a 1:1:1 vs a 1:1:2 ratio and mortality in patients with severe trauma: The PROPPR randomized clinical trial. JAMA 2015; 313: 471-482.
要約: 大量輸血を必要とする外傷患者を対象に,血漿:血小板:赤血球の比率が異なる,1:1:1 と 1:1:2 の二群に分けて比較した.すると,全体の死亡率には有意差なかったが,出血死は 1:1:1 vs. 1:1:2 で 9.2% vs. 14.6% と後者が有意に高かった.血漿と血小板の投与量が 1:1:1 群では多かった.
2015年5月18日
文献: Riker RR, Shehabi Y, Bokesch PM, et al. Dexmedetomidine vs midazolam for sedation of critically ill patients. JAMA 2009; 301: 489-499.
要約: 前向き多施設無作為二重盲検で,24時間以上呼吸器管理が見込まれる外科的 ICU の患者を対象に,dexmedetomidine DEX と midazolam MID の有用性と安全性を比較した.せん妄は CAM-ICU で評価し,発生率が DEX54% vs MID77% と有意差あった.有害事象は DEX で徐脈,MID は頻脈・高血圧が多かった.
2015年4月20日
文献: Brown CA, Bair AE, Pallin DJ, et al. Techniques, success, and adverse events of emergency department adult intubations. Ann Emerg Med 2015; 65: 363-370.
要約: 18施設で緊急気管挿管の実態を調べた.10年間で17000件を集めた.RSSが85%で第一選択されている.ビデオ喉頭鏡の使用が,2002年からの3年間では1%未満であったのが,2012年までの3年間では27%と増えている.鎮静(麻酔)薬は91%がetomidate(本邦未発売)筋弛緩薬はSCCが75%だが,rocuroniumが増加中.
2015年4月13日
文献: Benns MV, Egger ME, Harbrecht BG, et al. Does chest tube location matter? An analysis chest tube position and the need for secondary interventions. J Trauma Acute Care Surg 2015; 78: 386-390. 
要約: 胸腔ドレーンは,気胸は上方・前面,血胸は下方・後面に入れ,葉間への留置を避けるのが原則とされる.しかし胸腔は閉鎖空間なのだからどこに入れても良いのではないだろうか.後ろ向きに調べてみた.2年半分で291例を集めて多変量解析したが,チューブの位置は追加処置の必要性を高めなかった.
2015年3月2日
● 若い子の自傷行為
文献: Mars B, Heron J, Crane C, et al. Clinical and social outcomes of adolescent self harm: population based birth cohort study. BMJ 2014; 349:g5954. 
施設: School of social and community medicine, University of Bristol, UK
要約: 英国エイヴォン州で行われている出生後追跡調査の一環で,16歳になると質問票を郵送し,9383通の送付に対して返信のあった4855名を対象とした.自傷行為を報告する対象に,希死念慮の有無が精神疾患の発症や,薬物使用,教育,就職に関係するか否かを調べた.18歳の時点でうつ病の発症リスクは,希死念慮無しに自傷行為した群が,自傷行為ない群に対して2.21倍であるのに対し,希死念慮ありで自傷行為した群のそれは3.94倍で有意差がある.希死念慮ある自傷行為群は,無い自傷行為群より教育水準や就職状況も悪い.
2015年2月23日
文献: van Zanten ARH, Sztark F, Kaisers UX, et al. High-protein enteral nutrition enriched with immune-modulating nutrients vs standard high-protein enteral nutrition and nosocomial infections in the ICU. A randomized clinical trial. JAMA 2014; 312: 514-524.
要約: 免疫調整栄養 immune-modulating nutrients(グルタミンやΩ3系脂肪酸,セレン,抗酸化物質)の経腸投与が,ICU患者に与える効果を,投与熱量やタンパク量を揃えた対照群と比較して検討した.欧州14のICUで,3日以上人工呼吸管理が必要な301人の患者を対象に,免疫調整栄養IM群と対照群とに分け,感染予防を主要アウトカムにRCTを行った.
経腸栄養を入室後48時間以内に開始し6ヶ月間フォロした.新たな感染の発症はIM群 vs. 対照群が,53% VS. 52%で有意差なかった.内科患者を対象としたサブ解析で,副次的エンドポイントである6か月死亡率が,IM群で高値になった(ハザード比 1.57; 95%CI, 1.03-2.39; p=0.04).
2015年2月16日
文献: Buck DL, Vester-Andersen M, Møller MH; Danish clinical register of emergency surgery. Surgical delay is a critical determinant of survival in perforated peptic ulcer. Br J Surg 2013; 100: 1045-1049.
要約: 穿孔性消化性潰瘍(PPU)は,外科的治療が遅れると予後が悪化する.でもどのくらい悪化するかは知られていないので調べてみた.デンマークの外科データベースを使って調査した.対象は手術症例で,保存的治療例や悪性疾患は除外した.2003年からの6年間で2668名を挙げた.年齢の中央値は70.9歳で,55.4%が女性.全体の67.5%が6つの主要合併疾患(悪性疾患やAIDS,COPD,糖尿病,心疾患,肝硬変)のうち何れかを併発していた.45.6%がASA grade III以上の重症であった.来院から手術室入室までの時間が,1時間遅れるごとに30日生存率が2.4%ずつ低下した.やはり外科的治療が遅くなるほど,PPUの予後は悪化することが判った.
2015年2月2日
● COPD&高CO2
文献: Abdo WF, Heunks LMA. Oxygen-induced hypercapnia in COPD: myths and facts. Crit Care 2012; 16: 323. 
要約: 本日のテーマは,慢性閉塞性呼吸不全 COPD 患者に,酸素投与すると生じる高炭酸ガス血症の機序は何か?です.これまでは換気の抑制で説明されてました.つまり,COPD患者の呼吸中枢が頸動脈小体に置き換わり,低酸素刺激によって調整されるのに対し,酸素投与すると呼吸中枢が抑制されて,換気量が減るからだと考えるのです.しかし著者はこれに疑問を示します.その根拠は,COPD+酸素投与で見られる換気量低下と,炭酸ガス分圧増加が相関しないことや,酸素投与で見られる換気抑制が,数分後に回復傾向を示すにも関わらず,高炭酸ガス血症が改善しないことにあります.
著者は2つの仮説を提案します.ひとつは酸素投与による換気血流のミスマッチです.この説明のために本編は,低酸素誘導性肺血管収縮 hypoxic pulmonary vasoconstriction を解説します.末梢気道(肺胞)が低換気になると,換気血流比が低下します.すると,その部分の肺胞内酸素分圧が下がり,低酸素が刺激になって,その辺に分布する血管が収縮して血流を減らします.つまり,換気量が下がった部分の血流量を減らすことで,換気血流のミスマッチを解消するのです.低換気への生理的対抗策ですね.ところが,酸素投与すると,酸素は拡散で血中に浸みていきますから,低酸素刺激がなくなって血管収縮が解消されてしまいます.すると,血流量が元に戻り,再び換気血流比が悪化します.せっかく患者が頑張って代償しているのに,医者が余計なコトして状況を覆す典型的な例ですね.COPDの酸素誘導性高炭酸ガス血症には,この仕組みが関わっているだろうと推測しています.
さらに本編では,その根拠として酸素投与で炭酸ガスが増えた群と,非増加群とを比較したデータが紹介されています.両群とも,酸素投与による換気量減少には差が見られませんが,死腔容量が異なります.換気血流比のミスマッチが関係するのでしょう.COPD患者への酸素投与で見られる高炭酸ガス血症は,換気の抑制だけではなく,酸素刺激による換気血流比障害にも理由があると筆者は主張するのです.さてもう一つの仮説はホールデン効果です.これは,酸素と結合したヘモグロビンが,炭酸ガスを血中へ遊離しやすくなる現象です.遊離した炭酸ガスは,健常者には換気を刺激し,無意識のうちに換気量が増えて体外へ排泄されます.しかし,COPDでは換気量を増やす余裕がないので,血中に炭酸ガスが増えて高炭酸ガス血症となってしまうのです.こちらを裏付ける臨床データはありませんが,コンピュータシミュレーションの結果が紹介されています.
これらふたつの仮説を示し,COPDへ酸素投与した時に見られる高炭酸ガス血症は,換気量の抑制以外のメカニズムが関与すると説明する文献でした.
2015年1月19日
文献: Youngster I, Russell GH, Pindar C, et al. Oral, capsulized, frozen fecal microbiota transplantation for relapsing Clostridium difficile infection. JAMA 2014; 312: 1772-1778. 
要約: 難治性・再発性クロストリジウム感染 CDI に,健常者の糞便経口投与が有望視されている.凍結糞便をカプセルに詰めて投与し,その有用性を検討した.CDI で入院を要し,バンコマイシンのテーパリング療法が効かなかった症例を対象とした.健常ボランティアから採取した糞便を凍結し,カプセルに詰めたモノを,1日15カプセル×2日間投与する.20名に投与し14名に有効であった.無効な6名にはもう一度やってみた.すると4名に有効であった.排便回数は,投与前の中央値5回/日から,3日目に2回まで減った.
2014年12月22日
● シミュレーション教育改善の試み
文献: Chen A, Hunt EA, Donoghue A, et al. Examining pediatric resuscitation education using simulation and scripted debriefing. JAMA Pediatr 2013; 167: 528-536. 
要約: 医師看護師を対象とした小児心肺蘇生の訓練で,debriefing(事後の振り返り)を scripted(インストラクタに対するマニュアル付き)かまたは non-scripted(学習目的のみ示してあとはアドリブ)で行うかで比較した.また同じ研究内で,high-realism な人形シミュレータ(呼吸音,心音が聞こえる)か low-realism(心電図モニタのみ,あとはインストラクタが口頭で所見を言う)かの違いが,教育効果に与える影響も比較した.教育効果は,事後に行う MCQ のポストテストで知識を評価.また,訓練風景をビデオで撮り評価者がそれを見て,チームリーダの能力を調べる BAT と,チーム全体の能力を測る CPT も評価している.結果は,マニュアル付きデブリーフィングが,MCQ と BAT をマニュアル無し群に対して有意に高く改善した.CPT は有意差がなかった.リアルなシミュレータの使用は,いずれの項目でも有意差がなかった.
2014年11月10日
文献: Uchida K, Mishima S, Ohta S, Inhibition of inducible nitric oxide synthase ameliorates lung injury in rats after gut ischemia-reperfusion. J Trauma 2007; 63: 603-607.
2014年9月29日
文献: Kawai K, Kawai T, Sambol JT, et al. Cellular mechanismas of burn-related changes in contractility and its prevention by mesenteric lymph ligation. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2007; 292: H2475-84.
要約: 広範囲熱傷では心機能が低下する.この障害には,腸間膜リンパに由来するリンパ液が関係していると考え,熱傷ラットと熱傷+腸間膜リンパ管結紮モデルとで,心筋細胞の収縮力やカルシウム動態を調べた.すると熱傷群では心筋細胞の収縮長が短縮した.リンパ管結紮モデルでは収縮長が回復している.この心筋細胞に見られる障害は,心不全の心筋細胞と異なり,収縮能自体は侵されていないことが判った.そこで収縮を調整するカルシウムの動態に問題があると考えて調べたところ,膜蛋白であるカルシウムチャンネルの減少が,熱傷に見られる心機能障害に関連すると判った. 
2014年8月11日
文献: The ProCESS investigators. A randomized trial of protocol-based care for early septic shock. N Engl J Med 2014; 370: 1683-93.
要約: 治療抵抗性の敗血症性ショックを,EGDT, 標準治療群,勝手治療群の3つに分けて比較すると,院内死亡率に有意差がなかった.上手くやれば遜色ない治療成績を上げられるのだから,EGDTは基本的な集中治療のヤリ方を普及させた,教育的効果しかないのでは?
2014年7月28日
● せん妄の評価
文献: Meagher D, Adamis D, Leonard M, et al. Development of an abbreviated version of the delirium motor subtyping scale (DMSS-4). Int Psychogeriatr 2014; 26: 693-702.
要約: せん妄のサブタイプはDMSS-4の30項目でhyperactive, hypoactive, mixed, no subtype の4つに分けられるが,それを4項目にしぼっても,上手く分けられるか否か検討した.4項目とは,① increased amount of activity,② loss of control of activity,③ decreased speed of actions,④ reduced verbal output である.①と②が hyperactive に関係し,③と④がhypoactive に関連します.①または②と③または④が同時に見られるのが mixed で,どれもはっきりしないのが no subtype だそうです.
2014年7月14日
文献: Silva JM, de Oliveira AMRR, Nogueira FAM, et al. The effect of excess fluid balance on the mortality rate of surgical patients: a multicenter prospective study. Crit Care 2013; 17: R288.
要約: 前向き多施設観察研究.予定手術の術中輸液量に注目して予後との関係を調べた.479名を生存例と死亡例と後者の輸液量が多かった(1950 vs. 1400 mL, p<0.001).2000 mL で区切ると,輸液過多群は臓器不全や予後が悪かった.
2014年6月2日
文献: Tagami T, Kuwamoto K, Watanabe A, et al. Optimal range of global end-diastolic volume for fluid management after aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a multicenter prospective cohort study. Crit Care Med 2014; 42: 1348-56.
施設: Dep Emergency & CCM, Nippon Medical School, Tokyo, Japan.
要約: くも膜下出血SAHは,遅発性血管攣縮が起きると致命的な脳虚血を合併する.予防のために3H治療を行うが,輸液をしすぎると肺水腫にもなり管理は難しい.9つの大学病院で前向きに,経肺希釈法で体液量をモニタし,180人のSAH患者を発症後14日間体液管理した.遅発性脳虚血DCIは全体の19%に発症.重症肺水腫は26%.脳虚血併発群と非併発群との間で,global-end diastolic volume index(GEDVI)には前半で有意差があった.脳虚血発症の閾値は822 mL/m2であった.一方,肺血管外水分量を測ると,それはGEDVIと有意に相関しており,921 mL/m2以上だと肺水腫が起きやすくなる.SAH発症後は,経肺希釈法でGEDVIをモニタしながら体液管理するのが良いだろう.
2014年5月26日
文献: Caironi P, Tognoni G, Masson S, et al. Albumin replacement in patients with severe sepsis or septic shock. N Engl J Med 2014; 370: 1412-21.
要約: 多施設前向き無作為比較試験.20%アルブミン液を,血清アルブミン濃度が3.0 g/dLを保つように,ICU退出まで又は28日間投与する.対照は晶質液.最初の7日間,アルブミン群は平均血圧が高く(p=0.03)水分バランスが少なかった(p<0.001).28日死亡率は,31.8 vs. 32.0%で群間に有意差なかった.
2014年5月19日
文献: Wilson FP, Yang W, Machado CA, et al. Dialysis versus nondialysis in patients with AKI: a propensity-matched cohort study. Clin J Am Soc Nephrol 2014; 9: 673-81.
要約: AKIを診断された6119名の内,透析を受けた602人を対象として,傾向スコア分析で545名を選んで後ろ向きに分析した.全体としては非透析群との間で死亡率に有意差なし.クレアチニンが1mg/dL上がる毎に,透析は生存率に対するハザードを20%改善する.クレアチニンのカットオフ値は3.8 mg/dL.
2014年5月12日
文献: Van Gent JM, Zander AL, Olson EJ, et al. Pulmonary embolism without deep venous thrombosis: De novo or missed deep venous thrombosis? J Trauma Acute Care Surg 2014; 76: 1270-4.
要約: DVTの無い肺塞栓を後ろ向きに検討した.5年間で2881名の外傷患者に下肢エコーを行った.この患者の内31名にPEを診断し,61%にあたる19名がDNPE de novo PEであった.DVTを伴うPEに比べてDNPEは若く,肋骨骨折や肺挫傷,感染が多く,症候性で,末梢性であった.
2014年4月28日
文献: Laursen SB, Hansen JM, Andersen PE, et al. Supplementary arteriel embolization an option in high-risk ulcer bleeding - a randomized study. Scandinavian J Gastroenterol 2014; 49: 75-83.
要約: フォレスト分類でIa-IIbが対象.GIFで止血後24時間以内に追加でTAEを行う.出血所見に対して塞栓するのではなく,クリップを目印に責任血管を詰める.アウトカムは再出血の有無.再出血の定義:再吐血,胃管からの血性排液,希釈で説明できないHb低下.再出血は十二指腸潰瘍が多かった.重症例には有用な手段であろう.
2014年3月24日
文献: Hatta K, Kishi Y, Wada K, et al. Preventive effects of ramelteon on delirium. A randomized placebo-controlled trial. JAMA Psychiatry 2014 Feb 29. PMID: 24554232. 
要約: 多施設前向きに,緊急入院した高齢者を対象に,ロゼレムの経口投与で,入院後1週間のせん妄発症リスクを調べた.
2014年3月17日
文献: Morelli A, Ertmer C, Westphal M, et al. Effect of heart rate control with esmolol on hemodynamic and clinical outcomes in patients with septic shock. JAMA 2013; 310: 1683-1691. 
要約: 敗血症で頻脈(>95/min)の患者を,ベータ遮断薬で安全にレートコントロールできるか否か検討した.オープンラベルの比較対照検査.ベータ遮断薬使用により,心拍数は減り,一回拍出量は増え,左室仕事係数は増え,血中乳酸濃度は減り,ノルアドレナリンも減らせて,輸液量も減った.死亡率も減ったが,これは対照群の死亡率が高すぎる(28日死亡率が81%)ため断定的なことは言えない.
頻脈+敗血症ならベータ遮断薬を使用したら良いだろう.
2014年3月10日
文献a: Darbyshire JL, Young JD. An investigation of sound levels on intensive care units with reference to the WHO guidelines. Crit Care 2013; 17: R187. 
要約: WHOは睡眠障害に対する配慮から,病棟の騒音を35dB以下に保つのを推奨している.5つのICUで騒音レベルを調べたら,いつも45dBを超えておりWHOの推奨に遠く及ばなかった.この騒音により睡眠障害が起きているのなら,アラームシステムの改善や耳栓などの利用を考慮した方が良い.
文献b: Le Guen M, Nicolas-Robin A, Lebard C, et al. Earplugs and eye masks vs routine care prevent sleep impairment in post-anaesthesia care unit: a randomized study. Br J Anaesth 2014; 112: 89-95. 
要約: 術後ICUで睡眠障害に対する,耳栓とアイマスクの効果を調べてみた.耳栓+アイマスク群は,睡眠の主観的質が改善し,術後見当識障害の発生頻度が減った. 
2014年2月10日
文献: Futier E, Constantin JM, Paugam-Burtz C, et al. A trial of intraoperative low-tidal-volume ventilation in abdominal surgery. N Engl J Med 2013; 369: 428-37.
要約: 低容量換気とPEEPを使う肺保護療法は,クリティカルケアで最良の呼吸管理法と見なされている.しかし術中にも良いか否かは判っていない.そこで多施設前向きに,中等度以上のリスクを有する腹部手術患者を対象に,術後7日間の呼吸器・肺外合併症をアウトカムに調査した.肺保護群は合併症が200例中21名に見られ,一方対照群では200例中55名と有意差があった.術後人工呼吸を必要としたのは,肺保護群が10名に対し対照群34名と有意差があった.入院期間も短かった.
2014年1月27日
文献: Zielinski MD, Eiken PW, Bannon MP, et al. Small bowel obstruction-who needs an operation? A multivariate prediction model. World J Surg 2010; 34: 910-9.
要約: 小腸閉塞患者を対象とした後ろ向き研究.手術例と保存的治療例とを比較した.多変量解析を行うと,腹水(OR 3.80, 95%CI 1.5-9.9)腸間膜浮腫(OR 3.59, 95%CI 1.3-9.6)嘔吐(OR 4.67, 95% CI 1.5-14.4)の存在や,小腸内糞便サイン(腸内容と空気の混在所見)の欠如(OR 0.19, 95% CI 0.05-0.68)が手術必要の独立寄与因子であった.
2014年1月20日
文献: Nakamura M, Miyata T, Ozeki Y, et al. Current venous thromboembolism management and outcomes in Japan. Circ J 2014 Jan 7. Epub ahead of print.
要約: 日本静脈血栓塞栓治療レジストリに登録された症例を対象とした,後ろ向きの観察研究.本邦では,他国に比べてIVCフィルタや血栓溶解療法を,多く積極的に行っている.しかし,本当に妥当(例えば抗凝固療法の禁忌例)な適応で行っているか疑問である.本邦の静脈血栓患者の総死亡率は,他国の報告に比べて高い.これは,特にがん患者で,抗凝固療法が十分行われていない(ワルファリンを使っても十分PTINRを高めていない)ことに関係しているかもしれない.これら二点を改善する必要があるだろう.
2013年11月25日
● 蘇生後高酸素血症 
文献: Janz DR, Hollenbeck RD, Pollock JS, et al. Hyperoxia is associated with increased mortality in patients treated with mild therapeutic hypothermia after sudden cardiac arrest. Crit Care Med 2012; 40: 3135-3139. 
要約: 心停止蘇生後で,高酸素血症の影響を調べた.170人中77名が生存退院したので,生存群と死亡群とに分けて比較した.生存群は心停止蘇生後の24時間で,最大PaO2が死亡群より有意に低かった(198 vs. 254 Torr, p=0.022)多変量解析しても,高いPaO2は有意に死亡率増加に関係するのが判った(OR 1.4; 95%CI 1.03-2.02; p=0.034).
→最大瞬間高酸素と,累積高酸素時間とのどちらが悪いのだろうか? 
● 蘇生後脳低温療法 
文献: Nielsen N, Wetterslev J, Cronberg T, et al. Targeted temperature management at 33˚C versus 36˚C after cardiac arrest. N Engl J Med 2013, DOI: 10.1056NEJMoa1310519. 
施設: Department of Anesthesia & Intensive Care, Helsingborg Hospital, Sweden.
要約: 脳低温療法は,心原性の院外心停止後昏睡に有効とされ,国際ガイドラインにも記載されている.しかし,その根拠となった二つの臨床研究(The hypothermia after cardiac arrest study group. N Engl J Med 2002; 346: 549-56 と Bernard SA, et al. N Engl J Med 2002; 346: 557-63)は,対照群に積極的体温管理を行っていない.そのため,低温が良いのか?或いは熱発を防止するのが効くのかが判らない.また目標体温は何度が適切かも解決されていない.そこで,33℃と36℃,二つの目標体温を設定して調べてみた.
方法:心原性(と推定される)院外心停止で,心拍再開が20分継続しており,且つGCS<8の症例を対象とした.除外基準は目撃無しの心静止,心停止の原因が脳卒中であると分かった例,来院時の体温<30℃とした.群の割り付け後に目標体温へ下げて28時間維持し,その後徐々に37度まで上げていき,36時間で鎮静を切る.心停止後72時間は体温を<37.5℃に保つ.
結果:全体の9割が目撃有り,Bystander CPRは7割の患者に行われ,8割の患者がVF又はVTでショックを行っている.ALS開始まで9-10分,発見から心拍再開まで25分,STEMIは約4割に見られ,以上群間に有意差は無かった.
考察:2002年NEJMに2本の臨床研究が報告されてから,心停止後昏睡に対する脳低温療法は,2つの方向で議論されてきた.ひとつは適応の拡大であり,非心原性心停止,院内心停止,循環動態が安定しない例などへの応用が試みられている.しかし,対象の非均一性のためか,一定の結論が得られず支配的な知見は無い.もうひとつは最適温度の探求で,積極的低体温が効くのか,或いは熱発を防ぐ消極的体温管理でも良いのかが検討されてきた.本研究は至適温度管理の調査であったが,設定した二群間に有意差は見られなかった.NEJM2002年の先行二研究では,対照群には37-38℃以上の熱発が認められ,またそれらの死亡率は本研究の両群より高い.したがって,院外心停止後昏睡に対しては,低体温そのものよりも,熱発を防ぐ体温管理が重要なのかも知れない. 
2013年10月28日
● 上部消化管出血と輸血
文献: Villanueva C, Colomo A, Bosch A, et al. Transfusion strategies for acute upper gastrointestinal bleeding. N Engl J Med 2013; 368: 11-21.
施設: Dep Gastroenterology, Hospital de Sant Pau, Barcelona, Spain.
要約: Hb<7g/dLまで輸血しない制限群と<9g/dLの対照群とを比較した.6週後の生存率は制限群で高かった(死亡に対するハザード比0.55; 95%CI, 0.33-0.92; p=0.02).再出血も10% vs. 16%(p=0.02)と少なく,合併症も40% vs. 48%(p=0.02)と低かった.
2013年9月30日
● 腹部コンパートメント症候群診療ガイドラインのマイナチェンジ
文献: Kirkpatrick AW, Roberts DJ, De Waele J, et al. Intra-abdominal hypertension and the abdominal compartment syndrome: updated consensus definitions and clinical practice guidelines from the World Society of the Abdominal Compartment Syndrome. Int Care Med 2013; 39: 1190-1206.
要約: 体液量は複数のパラメータに左右されるため,水分バランスや輸液量,体重など基礎的指標のみでは判断できない.リスクの高い患者では必要なパラメータ(=腹腔内圧)を予め測っておく必要がある.用語の説明,IAP 腹腔内圧,IAH 腹腔内高血圧,ACS 腹部コンパートメント症候群.四肢(など他部位)のコンパートメント症候群とACSの違いは,後者が静脈の還流障害を含んでいる点にある.IAPと腹腔内容量の関係には,コンプライアンスの低下によって,急激に圧が上昇し始めるクリティカルポイントがある.ACSによって,頭蓋内圧や四肢の内圧にも影響が生じる,全コンパートメント症候群 poly-compartment syndrome の概念が提唱されている.腹部灌流圧 APP=平均血圧-IAPが臓器障害の指標と考えられてきたが,今回の改訂では管理目標の推奨から外れた.(血圧は血管抵抗増加によっても上げられるが,血管収縮薬で血圧のみを上げても,灌流が却って悪くなることがあるからか?)ACSではAPPが下がるので尿量も減り,尿量が循環血液量を反映しなくなる.CVPやPCWPも当てにならない.Grade I:IAP>12 mmHgの所で捉まえてマネジメント開始が必要.IAP<15を目標に内科的治療を行う.IAP>20ではACSとなるので,外科的腹部減圧を検討する.陰圧閉鎖療法NPWTの有用性が評価されている.
2013年7月22日
● TBIと抗痙攣薬
文献: Inaba K, Menaker J, Branco BC, et al. A prospective multicenter comparison of levetiracetam versus phenytoin for early posttraumatic seizure prophylaxis. J Trauma Acute Care Surg 2013; 74: 766-773.
要約: Levetiracetam(イーケプラ)は血中モニタリングが不要で使いやすいが高価い.鈍的頭部外傷患者を対象に,7日間の早期痙攣発症をプライマリアウトカムとして,フェニトインとの比較を行った.痙攣の出現頻度に有意差なし(1.5% vs. 1.5%).白血球増多の副作用が,フェニトイン群で多く(p<0.001)副作用による薬剤の切り替えもフェニトインに多かった(p<0.001).
2013年5月27日
● 抗菌薬予防投与によるVAPの防止
文献: Vallés J, Peredo R, Burgueno MJ, et al. Efficacy of single-dose antibiotic against early-onset pneumonia in comatose patients who are ventilated. Chest 2013; 143: 1219-1225.
施設: Critical Care Center, Hospital Sabadell, Sabadell, Spain
要約: 目的:昏睡患者は早期の人工呼吸器関連肺炎(EO-VAP,人工呼吸開始4日以内に発症)罹患に高いリスクを持つ.ATS/IDSAの院内肺炎・VAP・HCAPガイドライン(2005年)では,頭部外傷患者に対し24時間の抗菌薬予防投与が推奨されている.また,その後の研究でも,3日間のABPC/SBT投与や選択的消化管殺菌との組み合わせで,VAPの予防を成功が報告されている.本編では,さらに挿管時の単回抗菌薬投与が,昏睡患者のVAP予防に有効か否かを検討した.
方法:単施設の混合ICUで前向きに,GCS=<8の患者を対象とした.挿管後4時間以内に抗菌薬(cefotriaxone―ロセフィン, 2g)を単回投与し,投与しない既存対照被験者(historical control)との間でVAPの発生頻度を比較した.VAPの診断は,胸部エックス線所見,白血球,熱発,吸引痰の性状でつけた.
結果:71人の予防投与群と58人の対照群を比較した.EO-VAPの発生頻度は予防投与群4.4件/1000日 vs. 対照群23.1件で,予防投与群が有意に少なかった(p=0.02).しかし,late-onset VAP(5日以降)の発生頻度には,群間で有意差が無かった.死亡率も差が無かった.起炎菌は,予防投与群が黄色ブドウ球菌とペプトストレプトコッカスであったのに対し,対照群はブドウ球菌,肺炎球菌,ヘモフィルス,大腸菌,緑膿菌など多岐に渡った.傾向スコアを用いた回帰分析で,抗菌薬の単回予防投与はEO-VAP予防の独立寄与因子であることが確認できた(OR, 0.11; 95%CI, 0.02-0.58; p=0.009).
結語:抗菌薬の予防的単回投与は,早期人工呼吸器関連肺炎の発生頻度を下げると思われる.しかしこの知見を確認する為,無作為対照比較試験の実施が望まれる.
2013年5月20日
● 英語を母国語としない発表者の為の指南書
文献: Adrian Wallwork. ENGLISH for Presentations at International Conference. 2010, Springer Science+Business Media, New York.(単行本)
要約: 著者はイタリア人で,本書は英語圏外の研究者が国際学会で発表する為のノウハウを述べている.普段の症例プレゼンにも通ずる所があるので紹介した.

Chapter 1.1 Find out about the potential audience
プレゼンで最も重要なのは『誰に話すか?』である.何を話すか?如何に話すか?ではない.相手により話す内容や仕方は変わり,万人・常時に通用する標準的プレゼンは存在しない.

Chapter 1.2 Identify your key points/messages
要点を3つほどに絞る.なぜこのプレゼンがその学会で重要なのか,その意義を説明する.

Chapter 1.3 Prepare a two-minute talk
プレゼンで二番目に重要なのは『何を話さないか?』である.何を話すか?ではない.10分程度のプレゼンでは,2分の要約版を先ず作る.圧縮する過程で話すべき内容に焦点を当てることができる.削る作業そのものが,発表者に発表内容を教えてくれる.

Chapter 1.7 Give your presentation a structure
受け手は読むように聞くことができない.言葉は一瞬で耳から去ってしまう.聴き手の頭に届ける為には,受け入れやすいストーリを語ることと,要点を繰り返すことが重要.

Chapter 1.8 Create the slides
全てのスライドには意味・目的を持たせる.形式的に必要だからでは無く,考察や結語に利用するスライドを作る.

Chapter 1.10 Cut redundant slides, simplify complicated slides
演者が話したい内容ではなく,聴衆が聞くべき内容に焦点を当てる.

Chapter 2.1 Why should I write a speech?
口演原稿を書き出すことで,余分なスライドを削り,プレゼンの構造を見直すきっかけにする.ただし口演原稿を読み上げるのは感心しない.本番は原稿無しで聴衆にアイコンタクトして語る.

Chapter 2.4 Only have one idea per sentence and repeat key words
一つの文章には一つの事柄・意味のみを持たせる.徒に接続詞や関係代名詞で文章を長くしない.関係代名詞を排して文章を二つに分け,鍵となる言葉を繰り返すのが良い.フォーマルな印象を与える受動態よりも,私・貴方を主語とした能動態で語るべき.

Chapter 2.6 Do not use synonyms for technical/key words
鍵となる言葉は同義語で言い換えないこと.伝わりにくくなる.

Chapter 2.11 Be concise-only say things that add value
冗長な言い回しや形式的挨拶を避ける.

Chapter 2.12 Use verbs rather than nouns
名詞で熟語的に表現するのではなく,動詞を使ってシンプルに語る.

Chapter 2.13 Avoid abstract nouns
観念的・抽象的な表現を避け,修飾を削って簡潔な表現を心がける.

Chapter 2.15 Occasionally use emotive adjectives
しかし無味乾燥・無機的な口演ではなく,感情に訴える用語を用いる.それは聴衆の心にも感情を呼び起こす.

Chapter 2.16 Choose the right level of formality
口演ではフォーマルな形式よりくだけた表現が印象に残りやすい.私・貴方を主語として能動態で語る.

Chapter 2.18 Outline
長時間のプレゼンでは全体のあらましを示すと良い.

以上,特に重要なチャプタ1と2から内容を抜粋して示した.
2013年4月22日
● CTとIVC
文献: Johnson JJ, Garwe T, Albrecht RM, et al. Initial inferior vena cava diameter on computed tomographic scan independently predicts mortality in severely injured trauma patients. J Trauma 2013; 74: 741-746.
施設: Dep Surgery, College of Medicine, Univ. of Oklahoma
要約: 外傷患者は重症であっても『正常な』バイタルサインを示すことがある.下大静脈IVCの径を測ることで,循環血液量減少性ショックの予測が出来るか否か検討した.後ろ向きに,レベル1外傷センタの重症患者で現場から運ばれて,1時間以内にCTを撮った161名を対象とした.腎下部でIVCの横縦比>=1.9を平坦IVCとして,予後との関係をロジスティック回帰分析で検討した.
30名が平坦IVCであった.IVC横縦比は,来院時のHCO3-, Hb, BEと負の相関を示し(つまり平ぺったいほどこれらの値が低い),CrやISSと正に相関した(IVCが平らだと高い).平坦IVCは死亡に対するオッズ比が8.1, 95%CI, 1.5-42.9と高値であった.興味深いことに,心拍数や収縮期血圧は死亡に対する有意な説明変数ではなかった.バイタルが正常でも,平坦IVCが観察されたら要注意である.
2013年2月25日
● 気切 vs. PS
文献: Jubran A, Grant BJB, Duffner LA, et al. Effect of pressure support vs unassisted breathing through a tracheostomy collar on weaning duration in patients requiring prolonged mechanical ventilation. a randomized trial. JAMA 2013; 309(7): 671-677.
要約: 人工呼吸器から離脱困難な患者を,専門に扱う長期急性期病院で,PSと気切とでウィーニングの早さを比較した.ウィーニング困難な患者を対象とするため,人工呼吸器を5日間試しに外してみて,ダメな患者を選んでPS群と気切群とに分けた.PS群はRR<30となるPSを初期値に設定し,その後毎日3回チェックして可能なら2cmH2Oずつ下げる.PSが6cmH2Oまで下げられたら呼吸器を外して,5日のトライアルを行う.一方,気切群は12時間外すon and off を試し,その後5日間のトライアルに移行する.316人の患者に試みて,ウィーニングまでに要した日数の中央値が,気切群で短かった(15 vs. 19, p=0.04).
2012年10月15日
● 消化管出血のスコアリング
文献: Saltzman JR, Tabak YH, Hyett BH, et al. A simple risk score accurately predicts in-hospital mortality, length of stay, and cost in acute upper GI bleeding. Gastrointest Endosc 2011; 74(6):1215-1224.
施設: Gastroenterology Division, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA.
要約: 上部消化管出血で,転帰(死亡率,入院日数,入院費用)の悪化に関係する要因を調べ,予測指数を作った.血清アルブミン濃度(A),PT-INR(I),メンタルの異状(M),収縮期血圧(S)を使ってAIMS65と名付け,従来の指標よりも簡便かつ有用なツールになった.
2012年10月1日
● スタチンと急性肺障害
文献: Bajwa EK, Malhotra CK, Thompson BT, et al. Statin therapy as prevention against development of acute respiratory distress syndrome: an observational study. Crit Care Med 2012; 40: 1470-1477.
施設: Dep Medicine, MGH, Boston, MA.
要約: スタチンは抗炎症作用を有して,救命センタの患者予後を改善するという.本研究ではARDSに対する効果を調べた.前向きコホート研究.ICUでARDSのリスク(敗血症,肺炎,誤嚥,外傷,輸血)を抱える患者2743名を対象とした.26%でARDSを発症した.15%の患者に,ICU入室24時間以内にスタチンが投与された.多変量解析で,スタチン投与はARDSの発症に対するオッズ比を下げた(OR 0.69; 95%CI 0.51-0.92; p=0.01).しかし傾向スコア分析を行うと,このオッズ比は統計学的有意差を示さなくなった.他に,死亡率,臓器不全,人工呼吸器離脱期間でも有意差はなかった.
2012年9月10日
● 外傷患者のPCT
文献: Sakran JV, Michetti CP, Sheridan MJ, et al. The utility of procalcitonin in critically ill trauma patients. J Trauma Acute Care Surg 2012; 73: 413-418.
施設: Div Traumatology, The Trauma Center at Pennsylvania, Philadelphia, PA.
要約: 外傷患者で連日PCTを測り,後ろ向きに敗血症と非感染性のSIRSに分けて比較した.両群でPCTが高値を示したが,敗血症群は非感染性SIRSよりも高い値を取った.PCTが>5mg/dLの患者は死亡率が高い(OR, 3.7; 95%CI, 1.03-12.9; p=0.04).多変量解析ではPCTのみが敗血症の予測因子として有意であり(OR, 2.4; 95%CI, 1.2-4.6, p=0.01),カットオフ値を0.82ng/mLとすると,敗血症の感度と特異度が良い値を示した.
2012年8月20日
● AutoPulse™(LDB)と用手的胸骨圧迫(病院前の救急隊による心肺蘇生の検討)
文献1: Hallstrom A, Real TD, Sayre MR, et al. Manual chest compressions vs. use of an automated chest compression device during resuscitation following out-of-hospital cardiac arrest. JAMA 2006; 295: 2620-2628.
要約: 対象地区を細かく分け,一定期間でLDBと用手的胸骨圧迫を無作為に交代で割り付けます.このため本編は,無作為比較試験の体裁を取っています.用手群517例,LDB群554例で4時間後生存率や生存退院率には,統計学的有意差を認めませんでした.生存例に対して,神経学的所見をCPC cerebral performance categoryで退院時に評価しましたが,用手群でCPC1(alert)又は2(conscious)の『良好』が多く見られました(用手群 vs. LDB群;7.5% vs. 3.1%, p=0.006).LDB装置の使用は,神経学的予後悪化に関係すると結論づけられています.
文献2: Ong MEH, Fook-Chong S, Annathurai A, et al. Improved neurologically intact survival with the use of an automated, load-distributing band chest compression device for cardiac arrest presenting to the emergency department. Crit Care 2012; 16: R144.
要約: ヒストリカル対照を用いたコホート研究です.用手群459例,LDB群454例で生存入院率や退院率には,やはり有意差を認めません.ところが,生存例に対する神経学的評価で,CPC1 or 2の割合はLDB群で有意に多く(用手群 vs. LDB群;0.4% vs. 2.4%, p=0.01),LDB装置の使用が神経学的予後良好と関係しました.
まとめ: 2本の臨床研究で真逆の結果です.何故このような違いが生じたのでしょう?JAMAの研究は,LDBの装着や開始に手間取った可能性が指摘されています.最初の波形がVF/VTの症例で,LDB群はDCが2.1分遅れているのです(p<0.01).研究プロトコルが,先ず傷病者の体格や発症機転を評価して,それからLDB装置を取り付けるなど少々煩雑です.また,無作為化のために短い期間(1〜2ヶ月)で治療法の交代(用手かLDB装置か)を行うため,習熟度が低かったとも考えられます.
一方,Crit Careの論文はヒストリカルなので,ある時期から後はずっとLDB装置です.研究期間も2年半以上と長く,十分装置に習熟できました.実際,no flow time(1.5秒以上胸を押していない時間の総和)を測定すると,最初の数週間で短縮する傾向が観察されています.またCrit Careの論文はintention-to-treat研究です.LDB群に割り付けられたら(ある時期から後はずっとLDB群ですが)LDB装置を使っても使わなくても解析対象に含むのです.例えば,最初の波形解析でVF/VTのため,直ちにショックを行って心拍再開すれば,LDBは装着すらしません.でも,この傷病者はLDB群で,だからLDB群に賛成票が投じられるわけです.
2つの論文を読んで判ったのは,LDB装置は,導入や開始に手間取ると,悪い結果を導く可能性があります.特に,最初のショックが遅れない様に工夫する必要があるようです.其処の所を上手くやれば,救急の現場で良い結果が期待できるデバイスだと思います.
2012年7月23日
● PCTガイドの抗菌薬治療
文献: Albrich WC, Dusemund F, et al. Effectiveness and safety of procalcitonin-guided antibiotic therapy in lower respiratory tract infections in "real life". Arch Intern Med 2012; 172: 715-722.
要約: 下気道感染(市中肺炎,COPD急性増悪,急性気管支炎)に対し,PCTの価に応じた抗菌薬使用のアルゴリズムを作ってvalidationをした.対照はアルゴリズムを使用しなかった患者群,割り付けは主治医の裁量で無作為の研究.
2012年7月2日
● 静‐動脈血炭酸ガス分圧較差
文献: Futier E, Robin E, Jabaudon M, et al. Central venous O2 saturation and venous-to-arterial CO2 difference as complementary tools for goal-directed therapy during high-risk surgery. Crit Care 2010; 14: R193.
要約: 中心静脈血酸素飽和度ScvO2は,敗血症性ショックや高リスク手術で有用な治療目標である.本研究ではこのScvO2に加え,全身性組織灌流の指標である静脈血‐動脈血炭酸ガス分圧較差Pv-aCO2を測定し,輸液の良い治療目標になり得るか否かを検討した.腹部手術の70例を対象とし,術後合併症の有無で2群に分けて比較した.合併症群は,輸液量や心係数,酸素運搬量が対照群と有意差がないにも関わらず,術中の平均及び最低ScvO2が対照群より有意に低かった.ScvO2<70%は,術後合併症の危険性を高める独立寄与因子であった(OR 4.2,95%CI 1.1-14.4,p=0.025).さて,Pv-aCO2も合併症群で有意に高値であった(7.8 vs. 5.6,p<10-6).さらに,合併症が有りしかしScvO2は低くない患者を調べると,やはりPv-aCO2は高値であった(7.7 vs. 5.5,p<10-6).つまり,ScvO2が低く無い場合の輸液指標には,Pv-aCO2が有用かも知れないのである.Pv-aCO2が高値(>5mmHg)であれば,灌流状態が不良であるとみなすべきであろう.
● 来院時高血糖と肺炎予後
文献: Lepper PM, Ott S, Nüesch E, et al. Serum glucose levels for predicting death in patients admitted to hospital for community acquired pneumonia: prospective cohort study. BMJ 2012; 344: e3397.
要約: 来院時の高血糖が市中肺炎の死亡予測に関係するか否かを調べた.多施設前向きコホート研究.6891名の市中肺炎患者を対象とした.肺炎の重症度はCRB-65 score(意識障害,呼吸数>30/min,SBP≦90mmHg又はDBP≦60mmHg,年齢≧65歳)で判断し,来院時の血糖値と死亡率との関係を調べた.非糖尿病患者の血糖値上昇は,市中肺炎患者の死亡率高値の予測因子であった.来院時に108≦血糖値<198mg/dLの患者は,90日死亡に対するリスク比が有意に高値である(1.56,95%CI 1.22-2.01;P<0.001).そしてそのリスク比は,より血糖値が高い群でより増加した.
2012年6月25日
● 消化管出血最近の傾向
文献: Holster IL, Kuipers EJ. Management of acute nonvariceal upper gastrointestinal bleeding: current policies and future perspectives. World J Gastroenterol 2012; 18: 1202-1207.
要約: 成績,原因,評価法,鏡前management,鏡処置,鏡後,clot
強酸下では血栓が溶解されるので,内視鏡前にPPIを投与して酸を抑える.
胃内に凝血塊があれば,エリスロシンやプリンペランでプロカイネティックスする.
小弯後壁や十二指腸,サイズ>2cmは再出血のリスクが高いので早期にフォローする.
アドレナリンの止血効果は20分程度で一時的なので,追加処置を要する.
血餅は積極的に洗浄すると良い(70%にハイリスクな所見があるので).
High dose PPI therapy: 80mg bolus+8mg/hr/24H持続投与
Forrest分類
 Ia:活動性,Ib:湧出性,IIa:露出血管,IIb:凝血付着.
● 尿路感染と外傷死
文献: Monaghan SF, Heffeman DS, Thakkar RK, et al. The development of a urinary tract infection is associated with increased mortality in trauma patients. J Trauma 2011; 71: 1569-1574.
要約: 尿路感染があると外傷患者の死亡率が高まる.
2012年6月11日
● ARDSの新定義
文献: The ARDS definition task force. Acute respiratory distress syndrome. The Berlin definition. JAMA 2012; 1-8. online first.
要約: 急性肺障害の新しい定義.ALIを無くし,用語をARDSに統一.診断基準にPEEPを導入.PCWPの値に拘らず,非心原性を強調.浸潤陰影infiltratesから透過性低下opacitiesへ.
● 熱中症の予防
文献: Goto M, Okazaki K, Kamijo Y, et al. Protein and carbohydrate supplementation during 5-day aerobic training enhanced plasma volume expansion and thermoregulatory adaptation in young men. J Appl Physiol 2010; 109: 1247-1255.
要約: 5日間の身体トレーニングと,その後の炭水化物+蛋白負荷で,血漿量を増やして体温調節能を上げることで,熱中症の予防が可能となる.身体トレーニングは最大酸素摂取量の70%の運動を30分.
2012年5月28日
● ICU医の関与とICU死亡率
文献: Wallace DJ, Angus DC, Barnato AE, et al. Nighttime intensivist staffing and mortality among critically ill patients. N Engl J Med 2012; May 21 Epub ahead of print.
要約: 夜間の診療にICU医intensivistが関与すると,ICU治療の質が改善されるか否か調べた.その結果,昼間にICU医の関与度が低い施設では,夜間ICU医により死亡率が下がる.しかし,元々高い施設では変わらない.
● 外傷学会招待講演
元文献: Neri L, Storti E, Lichtenstein D. Toward an ultrasound curriculum for critical care medicine. Crit Care Med 2007; 35: S290-S304.
要約: 外傷診療のABCで超音波検査を使ってできることの紹介.
● 熱傷ICD分類
要約: 国際熱傷学会で織田先生が提案する,ICD international statistical classification of deseases分類の紹介.
● A-lineとヘパリン
文献: Del Cotillo M, Grané N, Llavoré M, et al. Heparinized solution vs. saline solution in the maintenance of arterial catheters: a double blind randomized clinical trial. Int Care Med 2008; 34: 339-343.
要約: 動脈ラインへのヘパリン添加がAPTTや血小板数に与える影響の検討.133人のICU患者.ヘパリン1IU/mL(0.5mL/生食500mL).8時間毎に動脈ラインをチェック.開存性,動脈圧の信頼性,脈波の質を評価.ラインの留置期間に群間で有意差なし.動脈ラインの開存性を維持するために処置を要した率は35% vs. 40%でP=0.05.静脈血との比較でAPTTに有意差有り.
2012年5月7日
● VILIとaquaporin
文献: Hales CA, Du HK, Volokhov A, et al. Aquaporin channels may modulate ventilator-induced lung injury. Respir Physiol 2001; 124: 159-166.
要約: 急性肺障害は,肺微小循環の血管透過性亢進が特徴的で,その発症には人工呼吸の陽圧換気との関連が高い.ラットの人工呼吸誘発肺障害VILIモデルで,細胞膜の水透過チャンネルであるaquaporinの役割を調べた.ラットを麻酔下に気管挿管し,人工呼吸器で85bpmの換気を行う.一回換気量TVを7mL/kgとする対照群と,20mL/kgの高換気群に分け,2時間の呼吸管理を行った.2時間後に肺を採取すると,高換気群は乾湿重量比が高かった(p<0.05).HgCl2(昇汞)はシスチンの結合部位を拮抗阻害し,aquaporinの作用を抑えるが,それを投与された高換気ラットは肺の乾湿重量比が増した.当モルのシスチン投与により,この浮腫増加は抑えられた.
● 経口Xa阻害薬の肺塞栓予防
文献: EINSTEIN-PE Investigators, Büller HR, Prins MH, Lensin AW, et al. Oral rivaroxaban for the treatment of symptomatic pulmonary embolism. N Engl J Med 2012; 366: 1287-1297.
要約: 経口Xa阻害薬であるrivaroxaban(商品名:イグザレルト)の肺塞栓再発予防効果を調べた.対照群はwarfarin.4832名の患者に行いrivaroxaban群で2.1%,対照群に1.8%の発症があったが群間に有意差はなかった.副作用の発症にも有意差はなく,major bleedingは対照に対するハザード比が0.49; 95%CI 0.31-0.79, p=0.003と有意にrivaroxabanで小さかった.
2012年4月23日
● 抗凝固療法中のフォローCT
文献: Peck KA, Sise CB, Shackford SR, et al. Delayed intracranial hemorrhage after blunt trauma: are patients on preinjury anticoagulants and prescription antiplatelet agents at risk? J Trauma 2011; 71: 1600-1604.
施設: Scripps Mercy Hospital, San Diego, California.
要約: 抗凝固薬や抗血小板薬を服用(ACAP治療)していると,外傷で遅発性の脳内出血を起こすことがある.来院時と6時間後のフォローのCTを比較した.後ろ向き研究.鈍的外傷患者.受傷前にACAP治療を受けている患者.1回目の頭部CT(CT1)が陰性で2回目(CT2)が陽性の率を調べた.500人の患者をエントリし,424人がCT1陰性であった.ワルファリン単独が68%,クロピドグレル単独が24%.ワルファリン服用患者のRT-INRは2.5.CT1陰性患者の85%(362人)でCT2を行った.358人(99%)がCT2陰性であった.CT2陽性患者も所見は軽微で,CT3まで安定していた.神経学的所見は変化しなかった.ACAPを受けていても,CT1が陰性で,神経学的検査が変化しなければ,CT2は必要ない.
2012年4月16日
● LCの鎮静
文献: Khamaysi I, William N, Olga A, et al. Sub-clinical hepatic encephalopathy in cirrhotic patients is not aggravated by sedation with propofol compared to midazolam: a randomized controlled study. J Hepatol 2011; 54: 72-77.
施設: Dep Gastroenterology, Rambam Medical Center, Israel.
要約: 内視鏡検査で鎮静すると,肝障害のある患者は醒めが悪いことがある.ウイルス性代償性肝硬変患者を対象に,propofolとmidazolamで比較した.覚醒程度はnumber connection score NCTで判定.結果,propofolは導入期間は短かった.一方midazolamは,処置後にNCTが悪化して覚醒までの時間が長かった.
2012年4月9日
● 酸アルカリ誤飲に対するPPIの効果
文献: Cakal B, Akbal E, Köklü S, et al. Acute therapy with intravenous omeprazole on caustic esophageal injury: a prospective case series. Dis Esophagus 2012 doi: 10.1111.
要約: 酸やアルカリを誤飲した患者に,オメプラゾール80mgをivして,さらに8mg/hr(192mg/day)の持続静注を72時間行った.すると従来の症例と比べて食道の損傷が軽くすんだ.
● 重症脾損傷の保存的治療の限界
文献: Velmahos GC, Zacharias N, Emhoff TA, et al. Management of the most severely injured spleen: a multicenter study of the research consortium of New England centers for trauma (ReCONECT). Arch Surg 2010; 145: 456-460.
要約: グレードⅣとⅤの脾損傷に対して保存的療法NOMを行ったケースを対象に解析した所,グレードⅤと頭部外傷併発が,NOM不成功の予測因子であった.
2012年4月2日
● 抗パ薬とTBI
文献: Giacino JT, Whyte J, Bagiella E, et al. Placebo-controlled trial of amantadine for severe traumatic brain injury. N Engl J Med 2012; 366: 819-826.
要約: アマンタジンは外傷性脳損傷後の遷延性意識障害患者に対して,もっとも多く処方される薬剤の一つである.外傷性脳損傷後4〜16週で意識障害を認める患者を対象に,4週間アマンタジンを投与する群と偽薬投与する群に無作為割付し,投与後2週間の神経学的変化を観察した.機能障害の尺度(Disability Rating Scale: DRS,0〜29でスコアが高いほど機能障害が強いことを示す)で評価した.投与期間中は,DRSスコアがアマンタジン群のほうがプラセボ群よりも有意に速かった.アマンタジン群では投与後2週間(第5週と第6週)に改善速度が低下した.ベースラインから第6週(投与中止から2週間後)までのあいだのDRSスコアの全体的改善は,両群で同程度であった.アマンタジンは外傷後の意識障害患者において,投与期間中の機能回復速度を促進させた.
2012年3月12日
● 出血性消化性潰瘍のTAEによる止血
文献: Wong TCL, Wong KT, Chiu PWY, et al. A comparison of angiographic embolization with surgery after failed endoscopic hemostasis to bleeding peptic ulcers. Gastrointest Endosc 2011; 73: 900-908.
要約: 内視鏡的止血が不成功の上部消化管出血に対する次善策として,経カテーテル動脈塞栓術TAEと手術を比較した.TAEの成功率は89%であったが,34%が術後に再出血し,これが手術群よりも有意に高率だった.ただ死亡率には群間に有意差がないので,先ず試みる治療としてTAEはありだろう.
● MERCIの効果と予後
文献: Fieldsa JD, Lutsepb HL, Smithc WS. Higher degrees of recanalization after mechanical thrombectomy for acute stroke are associated with improved outcome and decreased mortality: pooled analysis of the MERCI and multi MERCI trials. Am J Neuroradiol 2011; 32: 2170-2174.
要約: リトリーバカテーテルで脳血栓を除去し,閉塞動脈再開通の程度と臨床経過を比較した.再開通の指標はTIMIグレードで,神経学的予後は改変Rankinスケールで評価した.(MERCIはmechanical embolus removal in cerebral ischemiaの略,Merci retrieval systemはConcentric Med社の登録商標)
2012年2月27日
● 抗痙攣薬筋注の効果
文献: Silbergleit R, Durkalski V, Lowenstein D, et al. Intramuscular versus intravenous therapy for prehospital status epilepticus. N Engl J Med 2012; 366: 591-600.
要約: 病院前でパラメディックスが行う薬剤投与は,早期治療が望めるが現場では静注が難しいので筋注でも効けばそれに越したことはない.そこで抗痙攣薬の筋注を静注と比較した.痙攣停止の有効性は,ミダゾラムの筋注とロラゼパムの静注で有意差がなかった.薬剤投与までの時間は筋注の方が早かったが,効き始めは静注が早かった.痙攣が止まるまでの時間には有意差がなく,ミダゾラムの筋注は病院前で有効且つ実効的であると思われる.
2012年1月30日
● 肺保護療法
文献: Meade MO, Cook DJ, Guyatt GH, et al. Ventilation strategy using low tidal volumes, recruitment maneuvers, and high positive end-expiratory pressure for acute lung injury and acute respiratory distress syndome. JAMA 2008; 299: 637-645.
要約: P/F比<250の急性肺障害患者に対して,高PEEP+リクルートメント手技を加えて改善を図った.死亡率や圧損傷に有意な差は見られなかったが,酸素化が改善しレスキューテラピーの介入が減った.
2011年12月26日
● 高炭酸ガス血症と炎症
文献: Norozian FM, Leoncio M, Torbati D, et al. Therapeutic hypercapnia enhances the inflammatory response to endotoxin in the lung of spontaneously breathing rats. Crit Care Med 2011; 39: 1400-1406.
要約: 肺保護療法ではあえて高炭酸ガス血症を許容する.短期的高炭酸ガス血症は,それ自体が肺障害を防止するとも考えられている.しかし一方,生理的範囲を越えた高炭酸ガス血症は,肺障害を悪化させる知見も報告されている.何故矛盾する結果が示されるのか,動物実験で検討した.ラットを24時間,室内気または5%CO2含有気で自発呼吸させる.5mg/kgの大腸菌エンドトキシンLPSを腹腔投与し,24時間後に肺と脾臓を採取して,組織中のサイントカイン濃度や組織障害の程度を評価した.炎症性/抗炎症性サイトカイン比(IL-1β,IL-6/IL-10)を炎症の指標とすると,高CO2+LPS群は室内気+LPS群より高い炎症性メディエータ発現が肺で認められた.一方,脾臓では逆に炎症性サイトカイン発現が低値になった.
● 門脈ガス
文献: Hepatic portal venous gas: physiopathology, etiology, prognosis and treatment. World J Gastroenterol 2009; 15: 3585-3590.
要約: 門脈内ガスを認める,NEC(新生児壊死性腸炎),腸管虚血,憩室炎,イレウス,炎症性腸疾患などについてレビューした.門脈内ガスは,画像診断の発達により早期・軽症例でも発見されるようになってきたことから,必ずしも致死的な徴候ではなく,治療適応は原疾患の程度により判断すべき状態であると考えられる.
2011年12月19日
● 胸腔ドレーンの知識
文献: Elsayed H, Roberts R, Emadi M, et al. Chest drain insertion is not a harmless procedure -are we doing it safety? Interact Cardiovasc Thorac Surg 2010; 11: 745-749.
要約: 胸腔ドレーンは広背筋の前縁と大胸筋の外側,乳頭を通る水平線で形作られる『安全の三角』から挿入すべきである.若手医師がこれを自覚しているか否か調べた.50人に尋ねたところ,正しい位置を指し示させたのは50%以下であった.もっと勉強しなきゃ.
● 新生児敗血症免疫グロブリン治療
文献: The INIS collaborative group. Treatment of neonatal sepsis with intravenous immune globulin. New Engl J Med 2011; 365: 1201-1211.
要約: 新生児敗血症に対し,500mg/kgの免疫グロブリンを48時間で2回静注し,対照群と比較した.転帰に有意差は見られなかった.
2011年12月12日
● レートコントロール
文献: van Gelder IC, Groenveld HF, Crijns HJGM, et al. Lenient versus strict rate control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2010; 362: 1363-1373.
要約: 心房細動患者614名を対象に,心拍数<110bpmを目指す緩やか群と<80bpmの厳格群とに分けて観察した.心血管イベントによる死亡率は,3年間で有意差がなかった.一方,目標心拍数の達成率は緩やか群で高く(98 vs 67%, p<0.001)通院の回数も少なくすんだ.心房細動のレートコントロールは<110程度に緩やかでも良いかもしれない.
2011年11月28日
● 髄膜炎予防
文献: Ratilar BO, Costa J, Sampaio C, et al. Antibiotic prophylaxis for preventing meningitis in patients with basilar skull fracture. Cochrane Database Sys Rev 2011; CD004884.
要約: 頭蓋底骨折に対する抗菌薬投与の,髄膜炎予防効果をメタ分析で調べた.5本のRCTから208人の症例を解析した所,抗菌薬投与群と対照群との間で,髄膜炎の発症頻度や,死亡率,髄液漏に対する手術頻度に有意差はなかった.抗菌薬の副作用は報告されていないが,1本のRCTで抗菌薬投与患者に耐性菌の出現を認めた.現時点では,頭蓋底骨折患者に対し,髄液漏の有無にかかわらず,予防的抗菌薬投与を支持するエビデンスはないと言える.
2011年11月14日
● 術前貧血と予後
文献: Musallam KM, Tamim HM, Richards T, et al. Preoperative anaemia and postoperative outcomes in non-cardiac surgery: a retrospective cohort study. Lancet 2011; 378: 1396-1407.
施設: Dep. Int. Med., American Univ. Beirut Med. Center, Beirut, Lebanon.
要約: 多施設後ろ向きコホート研究.非心臓病手術を受けた22万強の対象で,30%に貧血があった.貧血患者は,全体でも軽症(Ht≧30%)でも30日死亡率に対するオッズ比が高く,合併症併発率も高かった.
2011年11月7日
● 胸郭動揺の外固定
文献: Althausen PL, Shannon S, Watts C, et al. Early surgical stabilization of flail chest with locked fixation. J Orthop Trauma 2011; 25: 641-648.
要約: レベルII外傷センタでの後ろ向き研究.胸郭動揺に対し,22例の外固定群と28例の保存的治療群とを比較した.平均18ヶ月のフォローで,手術群はICU滞在期間と(4日vs.10日,p=0.018),人工呼吸管理期間と(4日vs.10日,p=0.007),入院期間が短かった(12日vs.19日,p=0.006).外固定が経過良好である.
2011年10月31日
● 小児蘇生後脳低温療法
文献: Doherty DR, Parashuram CS, Gaboury I, et al. Hypothermia therapy after pediatric cardiac arrest. Circulation 2009; 119: 1492-1500.
要約: 5施設後ろ向きの検討で,小児心停止蘇生後の脳低温療法の効果を評価した.脳低温29例,対照群50例で死亡率がそれぞれ59% vs 36%と有意差なかった.小児蘇生後脳低温療法の是非は,この検討では判らない.
● 救命士の気道確保器具
要約: 現行のLM,WB tubeの他に,コンビチューブとラリンゲアルチューブ(LT)も紹介した.LMの利点は,カフがひとつで簡単,食道疾患にも対応可能,サイズが豊富で,一方欠点として,移動によりずれやすい,嘔吐に対応できないなどが挙げられる.これに対しWB tubeは,盲目的に入れられ,頭部後屈の必要ないのが利点だが,年齢・身長制限があり,食道疾患に使えないのが欠点である.
2011年10月24日
● 外傷初療の昇圧薬
文献: Plurad DS, Talving P, Lam L, et al. Early vasopressor use in critical injury is associated with mortality independent from volume status. J Trauma 2011; 71: 565-572.
施設: Navy Trauma Training Center, Los Angeles, CA.
要約: 近年は,かつての急速輸液全盛の時代を経て,過剰輸液の弊害が注目されている.早期昇圧薬併用が提唱されているが安全だろうか.患者の体液量の違いが,早期昇圧薬投与に及ぼす影響を検討した.単施設の後ろ向き観察I研究.外傷患者を対象とし,脊損とTBIは除外した.入院24時間以内に昇圧・強心薬を使用した患者を昇圧薬群とする.入院時のCVP<8mmHgを『脱水』とした.1349名の対象で,26%が昇圧薬群であった.死亡率は,昇圧薬群44%で対照群の4%に対しOR17.6で有意に高かった.昇圧薬使用は,重症度と無関係に死亡を高める.昇圧薬使用患者で脱水の有無は死亡に関係しない.
● 抗凝固療法と外傷
文献: Ott MM, Eriksson E, Vanderkolk W, et al. Antiplatelet and anticoagulation therapies do not increase mortality in the absence of traumatic brain injury. J Trauma 2010; 68: 560-563.
要約: 外傷センタの単施設研究.212人の内67名がアスピリンやワルファリン,クロピログレルを服用していた.非服用患者との間で,重症度や入院期間,死亡率などに差は無かった.
2011年9月26日
● 睡眠障害とせん妄
文献: Trompeo AC, Vidi Y, Locane MD, et al. Sleep disturbances in the critically ill patients: role of delirium and sedative agents. Minerva Anesthesiol 2011; 77: 604-612.
要約: REMが睡眠時間に占める割合で睡眠障害を判断する.REMが減少すると睡眠障害.重度REM減少(総睡眠時間の6%未満)とREM減少群とで比較すると,せん妄とロラゼパムの使用が,REM減少に対する独立寄与因子であった.
● 小腸腸間膜損傷
要約: 金子先生の臨床研究まとめ.腸間膜間の液体貯留に注目して,腸間膜損傷を診断する.肝臓前面の遊離ガスは診断的価値が低い.腹腔内遊離ガスの位置を分類して検討した.肝前面,正中腹膜直下,外側腹膜直下,腸間膜内に分ける.疑陽性の要素:気胸,皮下気腫(肋骨と接しているモノ),脂肪(正中腹膜直下で間違われやすい),腸内ガス(小腸の折れ曲がっている頂点)を誤認しやすい.遊離ガスがあっても他の陽性所見(液体貯留)が無いものは,疑陽性と判断したが腸管損傷は無かった.腸肝損傷の程度と遊離ガスの出現頻度は相関しない.
2011年9月12日
● 脳梗塞の悪化因子
文献: Lin LC, Yang JT, Weng HH, et al. Predictors of early clinical deterioration after acute ischemic stroke. Am J Emerg Med 2011; 29: 577-581.
要約: 脳梗塞急性期のNIHSSスコア悪化を予測する因子を調べた.NIHSSが3日間で3点以上増えたら『悪化』stroke-in-evolution SIEと定義する.前向きに196人の初発脳梗塞患者を調べたところ,BUN/Cr比>15はOR; 3.4,95%CI; 1.4-8.5と有意な予測因子であることが判った.
● 刺創のCT像
要約: 金子先生の臨床研究まとめ.12年間の研究期間に,transient responderより良い刺創患者のCTを撮って,陽性開腹・陰性開腹・保存的療法の別と予後とを検討した.CTによる検索で不必要開腹が減り保存的療法を増やすことができた.
2011年8月29日
● プロカルシトニンと誤嚥
文献: El-Solh AA, Vora H, Knight PR, et al. Diagnostic use of serum procalcitonin levels in pulmonary aspiration syndromes. Crit Care Med 2011; 39: 1251-1256.
施設: Veterans Affairs Western NY Healthcare System, Buffalo, NY.
要約: 誤嚥のリスクがあって,下気道病変の徴候や症状があり,X-Pで新しい浸潤陰影を認め,人工呼吸管理を要する患者を対象とした.入院後6時間以内にBALを行い,104CFU/mL以上の培養陽性を肺炎とした.培養陽性例と陰性例の間で,プロカルシトニンPCT濃度に差はなかった.PCTは肺炎の鑑別に有用であるとは言えない.ただPCTが低下傾向にある患者は,人工呼吸管理や抗菌薬投与の期間が短かった.だからPCTは予後予測には有用であろう.
● 脾動静脈の解剖
演題名: Kaneko N, Kobayashi Y, Itoh M. Anatomical consideration of pancreatic branches of splenic vessels for spleen-preserving distal pancreatectomy with complete conservation of splenic vascular and nervous system: cadaver study and case reports.
発表学会: 万国外科学会,パシフィコ横浜,8月28日‐9月1日2011年
要約: 膵体尾部の手術で脾臓を温存するためには,脾動静脈の枝に関する知見が有用である.しかしこれまで,膵臓への枝のバリエーションに関する報告がないため,遺体解剖で検討した.
2011年8月15日
● 早期経静脈栄養
文献: Casaer MP, Mesotten D, Hermans G, et al. Early versus late parenteral nutrition in critically ill adults. New Engl J Med 2011; 365: 506-517.
要約: ICUで経腸栄養が上手くいかない場合,欧州のガイドライン(ESPEN)では2日以内に経静脈栄養を始めろと勧めるが,米国のガイドライン(ASPEN)は最初の一週間は待てると云う.どっちがいいか試してみたら,経静脈栄養の後期開始群は,早期開始群に対し,8日以内のICU退室率が高く,呼吸器・血液・創感染の発症率が低く,透析期間が短かった.
2011年8月8日
● 皮膚局所止血剤の効果
文献: Groenewold MD, Gribnau AJ, Ubbink DT. Topical homeostatic agents for skin wounds: a systematic review. BMC Surgery 2011; 11: 15.
要約: 局所止血剤の,植皮採皮部に対する効果を検討した臨床研究に対するレビュー.アドレナリンやフィブリン製剤は有用である.
● ニトロールとハンプの心不全に対する効果
文献: Mizutani T, Inomata T, Watanabe I, et al. Comparison of nitrite compounds and carperitide for initial treatment. Int Heart J 2011; 52: 114-118.
要約: デコった心不全患者に,ハンプ0.07μg/kg/minまたはニトロール0.4μg/kg/minを投与して比較した.ハンプ群よりニトロ群は,24時間後の心拍数,DPAP,CVPが低かった.
2011年8月1日
● 合成糖源
問い: 合成グリコーゲンは水分と熱量補給に有用か
答え: 胃内通過時間を長くしないし,血糖値をゆっくり上げるので有用である.
文献: Inagaki K, Ishihara K, Ishida M, et al. Rapid rehydration and moderate plasma glucose elevation by fluid containing enzymatically synthesized glycogen. J Nutr Sci Vitaminol 2011; 57: 170-176.
施設: Dep Human Nutrition, Sugiyama Jogakuen Univ, Nagoya, JAPAN
要約: 経口摂取した水分・栄養の補給効率は,胃内通過時間と腸からの吸収速度による.合成グリコーゲンESGは水溶性が高く低浸透圧であるので,速やかに吸収され,運動中の水分吸収とエネルギ補給に適していると思われる.本研究の目的は,動物を用いた実験でESGの消化吸収の早さと,血糖値の変動を検討することにある.オスのBALB/cマウスに,10%ブドウ糖液とマルトデキストリン,デンプン,天然グリコーゲン,ESGを,実験1では20μL/g(20mL/kg>体重50kgとして400kcal相当)を飲ませて胃内通過時間を測定し,実験2では10μL/kgを投与して血糖値変動を評価した.ESGとマルトデキストリン群は,他の群より胃内容物の浸透圧が低かった.1時間後までの血糖値は,ESG群が他の群より低かった.実験3ではマウスを2時間トレッドミルで走らせ,8%ESG液またはブドウ糖液を20分毎に飲ませる.運動後に筋肉中のグリコーゲン量には群間で有意差がなかった.
2011年7月25日
● 抗酸薬と肺炎
文献: Eom CS, Jeon CY, Lim JW, et al. Use of acid-suppressive drugs and risk of pneumonia: a systematic review and meta-analysis. CMAJ 2011; 183: 310-319.
要約: H2RAやPPIの使用は,肺炎発症のオッズ比を1.2 95%CI 1.1-1.4と有意に高める.その機序は,胃のpHを高めること,好中球機能やNK細胞の働きを抑えること,気道にも壁細胞があって,そのpHを変えることなどによると思われる.
● ストレス関連粘膜病変SRMD
文献: UpToDateからの引用.Sauk J, Friedman SL. Prognosis and treatment of alcoholic liver disease and alcoholic hepatitis.
要約: Maddrey's判別式=4.6×(PT-PT対照)+血清ビリルビン値≧32は予後悪い.
2011年7月4日
● 内視鏡とエリスロマイシン
文献: Pateron D, Vicaut E, Debuc E, et al. Erythromycin infusion or gastric lavage for upper gastrointestinal bleeding: a multicenter randomized controlled trial. Ann Emerg Med 2011; 57: 582-589.
要約: 吐血患者に対する胃カメラの前処置に,エリスロマイシンER250mgの静注を10分前に行い,経鼻胃管で胃洗浄した群と比較した.ER群,胃洗浄群,ER+胃洗浄群の各群間で,検査の視野は同等に得られ差はなかった.胃洗浄が不快であることを考慮すると,エリスロマイシンの前処置でも良いかもしれない.
● スタチンと脳浮腫
文献: Beziaud T, Chen XR, El Shafey N, et al. Simvastatin in traumatic brain injury: Effect on brain edema mechanisms. Crit Care Med 2011; 39: epub ahead.
要約: ラットの脳挫傷モデルで,高脂血症治療薬のシンバスタチンが有効か否か検討した.脳挫傷作成後に,シンバスタチンを経口投与し,脳浮腫や細胞接合,内皮障害を調べた.
2011年6月27日
● 胸腔ドレーンの合併症
文献: Ball CG, Lord J, Laupland KB, et al. Chest tube complications: How well are we training our residents? Canadian J Surg 2007; 50: 450-458.
要約: 胸腔ドレーンの合併症を,特に研修医を対象に調べてみた.また臥位のCX-Pで胸腔ドレーンの位置が確認できるか否かを検討した.すると,半年間でISS≧12の患者338人に挿入され,17例で合併症を認めた.外科のレジデントより救急部門で多かったが,これは指導医との仲が後者で悪いからかも知れない.また外傷初療室ではICUやORより合併症が少なかった.これは初療室の方が指導者が多くいるためと思われる.臥位のCX-Pでは判らなかった位置以上が全体の55%にあり,ドレーンの位置を確認するにはCTが必要であると考える.
2011年6月13日
● Streptobacillus感染症
文献: Elliott SP. Rat bite fever and Streptobacillus moniliformis. Clin Microbiol Rev 2007; 20: 13-22.
要約: ネズミなどの動物に噛まれて感染する珍しい菌.培養しにくいので臨床的に発見しにくい.ペニシリンが効くが,一度血液培養が陰性になっても,抗菌薬投与を中止すると再度現れることがあり,4週間の抗菌薬治療が推奨される.
● 失神で発症した肺塞栓の一例(新宿救急予演)
● 救急隊-病院連携パスの検討(医療マネジメント学会予演)
2011年5月30日
● 熱傷学会予演
● Adam Kiewicz動脈の解剖と臨床
● アルギニンと敗血症予後
文献: Gough MS, Morgan AM, Mack CM, et al. The ratio of arginine to dimethylarginines is reduced and predicts outcomes in patients with severe sepsis. Crit Care Med 2011; 39: 1351-1358.
要約: 敗血症患者へのアルギニン補給は,予後を悪化させると報告されており,栄養ガイドラインでも使用が推奨されていない.しかし敗血症患者では,血中アルギニン濃度が低いこともまた知られており,両者の間に食い違いがある.何故か.確かにこの研究でも,敗血症患者では血中アルギニン濃度が正常対照に比べて低い.しかし,重症化や死亡に対する独立寄与因子であるのは,アルギニン濃度そのものではない.血中アルギニンとその代謝産物であるジメチル-アルギニン(DMA)との比なのである.DMAはアルギニンから,NOへの産生過程を阻害する内因性物質である.アルギニン/DMA比が低い患者は,重症化し死亡の危険性が高い.つまりこれは,アルギニンの生体内利用効率の指標であり,このモニタリングが予後予測に重要といえるのだろう.理想的には,アルギニンを外因性に投与するのではなく,アルギニンの生体内利用効率を良くすることで,敗血症の予後を改善できるだろうと推測できる.アルギニン/DMA比がそれを私たちに示してくれる.
2011年5月16日
● 内視鏡とエリスロマイシン
文献: Vicaut PD, Sahraoui DE, Bobbia CN, et al. Erythromycin infusion or gastric lavage for upper gastrointestinal bleeding: a multicenter randomized controlled trial. Ann Emerg Med 2011; epub ahead.
要約: 吐血の患者に胃カメラをする前に,エリスロマイシン250mgを静注したら蠕動が促進され,胃洗浄をしなくても良好な観察が得られた.もう胃管を挿入したり,事前に洗浄する必要がない.
2011年5月9日
● TOR
文献: Morrison LJ, Visentin LM, Kiss A, et al. Validation of a rule for termination of resuscitation in out-of-hospital cardiac arrest. N Engl J Med 2006; 355: 478-487.
要約: 救急隊による目撃なし,救急隊によるCPRに反応なし,電気ショックの適応なしの院外心停止例を『蘇生中止』基準とした場合,1240例の院外心停止に対して,776人が基準に該当し,生存例が4人であった.生存率が低いので,この蘇生中止基準は妥当である.
● 上部消化管出血
文献: Barkun AN, Bardou M, Kuipers EJ, et al. International consensus recommendations on the management of patients with nonvariceal upper gastrointestinal bleeding. Ann Intern Med 2010; 152: 101-113.
要約: 上部消化管出血は,Forrestの分類でIa:噴出性,Ib:,IIa:露出血管であれば止血する.低リスク(潰瘍底キレイ,色素点が平坦,血行動態安定,併発内科疾患なし)の患者は24時間以内に食事開始可,薬物はPPI(粘膜保護薬・IVH・FFPは必須ではないのか?).
2011年5月2日
● PCTの有用性
文献: Schuetz P, Christ-Crain M, Thomann R, et al. Effect of procalcitonin-based guidelines vs standard guidelines on antibiotic use in lower respiratory tract infections. The ProHOSP randomized controlled trial. JAMA 2009; 302: 1059-1066.
施設: Dep Internal Medicine, Kantonsspital Arau, Switzerland
要約: 市中下気道感染を対象に,プロカルシトニンを指標に抗菌薬の投与適応を決めるヤリ方の妥当性を検討した.前向き多施設のRCTで,PCT群は抗菌薬の投与期間が5.7日と,従来の診断基準に基づく対照群の8.7日より短かった.抗菌薬の副作用が20%と低かった.予後の悪化はなかった.従って,下気道感染の抗菌薬投与は,プロカルシトニンを指標にすると良い.
● 防ぎ得た死
問い: 外傷患者の『防ぎ得た死』にどんな改善の余地があるだろうか?
答え: ERで気道確保や輸液療法,胸部外傷への治療を見直すと良いかもしれない.
文献: Sanddal TL, Esposito TJ, Whitney JR, et al. Analysis of preventable trauma deaths and opportunities for trauma care improvement in Utah. J Trauma 2011; 70: 970-977.
施設: Critical Illness & Trauma Foundation, Loyola Univ, Illinois, Utah
要約: 外傷症例を対象に『防ぎ得た死』を見直し,改善の機会(OFI)について検討した.2005年の一年間に,州内で外傷データベースに登録された外傷死亡例を,多方面の専門家により分析した.全体で『防ぎ得た死』は総死亡例の7%であった.病院受診例に限ると11%である.『改善の機会』は全例の76%に見られた.その累積比率は,病院前診療で51%,ERで67%,入院後(ORやICU)に40%であった.ケアの種類毎に分類すると,気道管理,輸液療法,胸部外傷の診断と処置に関する内容が多かった.この辺りを重点的に,システムの見直しやトレーニングを行うのが費用対効果に優れるであろう.
2011年4月11日
● 単純CTの虫垂炎診断
文献: Hlibczuk V, Dattaro JA, Jin Z, et al. Diagnostic accuracy of noncontrast computed tomography for appendicitis in adults. Ann Emerg Med 2010; 55: 51-59.
要約: 急性虫垂炎の診断における造影CTの有用性を,メタ分析で検討した.7本の臨床研究を対象に評価すると,単純CTは造影CTと比べて有用性に差がなかった.
● 頭部外傷患者の静脈血栓予防
文献: Koehler DM, Shipman J, Davidson MA, et al. Is early venous thromboembolism prophylaxis safe in trauma patients with intracranial hemorrhage. J Trauma 2011; 70: 324-329.
要約:

循環動態が落ち着いている患者ならば,受傷後72時間以内の早期に,頭部外傷患者に対して抗凝固療法を始めても良いのではないか.早期に始めても出血性合併症は認めなかった.しかし,早期に開始した群が静脈血栓が減ったというデータも得られなかった.ICPモニタ患者や腹腔内出血患者は除外した後ろ向きの介入検討.

2011年4月4日
● 人工呼吸誘発肺障害VILIの動物モデル
問い: 実験動物の高容量換気でVILIのモデルがつくれるか?
答え: つくれる.コンプライアンスの低下や炎症性サイトカインの再現性が得られる.
文献: Seah AS, Grant KA, Aliyeva M, et al. Quantifying the roles of tidal volume and PEEP in the pathogenesis of ventilator-induced lung injury. Ann Biomed Eng 2011; Epub ahead of print.
2011年3月28日
● アルテプラーゼの有効時間
文献: Hacke W, Kaste M, Bluhmki E, et al. Thrombolysis with alteplase 3 to 4.5 hours after acute ischemic stroke. N Engl J Med 2008; 359: 1317-1329.
要約: 従来,発症から3時間まで有効とされてきたアルテプラーゼであるが,4.5時間まで有効且つ安全に使用できることをRCTで実証した.
● ハンズオンリーCPR
文献: Svensson L, Bohm K, Castren M, et al. Compression-only CPR or standard CPR in out-of-hospital cardiac arrest. N Engl J Med 2010; 363: 434-442.
要約:

バイスタンダーCPRを電話指導した例を対象として行われた臨床研究.ハンズオンリーCPRは人工呼吸を行う従来法と比べて,生存率に遜色ないのでオススメである.(ちなみに本編は三島が2010年9月9日に『文献紹介』で取り上げた一本で,http://web.mac.com/mana9/から参照できる).

参考1: (上記に反対の論文)
Ogawa T, Akahane M, Koile S, et al. Outcomes of chest compression only CPR conducted by lay people in patients with out of hospital cardiopulmonary arrest witnessed by bystanders: nationwide population based observational study. BMJ 2011; 342: c7106.
要約: バイスタンダーCPRが行われた院外心停止患者4万例を対象とした研究で,人工呼吸+胸骨圧迫群は胸骨圧迫単独群より生存率と神経機能が良かった.
参考2: (さらに上記に反対の論文)
Hüpfl M, Seliq HF, Nagele P. Chest-compression-only versus standard cardiopulmonary resuscitation: a meta-analysis. Lancet 2010; 376:1552-1557.
要約: 院外心停止における胸骨圧迫単独CPRの有用性をメタ分析で調べた.無作為試験を行った3つの臨床研究では,CCCPRの生存率が通常対照と比較して有意に高値であった(14% vs 12%; RR 1.22, 95% CI 1.01-1.46).
● bystander CPRを行った経験の一例報告,Brugada症候群
要約: 路上で倒れている男性を,通勤途中に発見し,bystander CPRをhands-onlyで行い,AEDが近所のビルから届けられたので,これを使って現場で2回ショックをかけた.アジアでは突然の説明できない死に対する独自の用語がある.日本では『ポックリpokkuri』フィリピンではbangungot,タイではlai taiという.
● モルヒネとPTSD
文献: Holbrook TL, Galarneau MR, Dye JL, et al. Morphine use after combat injury in Iraq and post-traumatic stress disorder. N Engl J Med 2010; 362: 110-117.
要約: 現場でモルヒネを使用するとPTSDの発生率が減る.
2011年3月7日
● 胸郭動揺の治療
文献: Tanaka H, Yukioka T, Yamaguti Y, et al. Surgical stablization of (or?) internal pneumatic stabilization? A prospective randomized study of management of severe flail chest patients. J Trauma 2002; 52: 727-732.
要約: 37例の胸郭動揺患者に対し,Judet strutsによる外固定と陽圧換気での内固定を行う群とに分け合併症や予後を比較した.手術群は人工呼吸器群に比べて,呼吸器管理期間が短く(16日vs27日,p<0.05),入院期間,肺炎合併率,医療費,呼吸機能の改善でも良い結果を示した.
2011年2月28日
● 敗血症の疫学
文献: Heffer AC, Horton JM, Marchick MR, et al. Etiology of illness in patients with severe sepsis admitted to the hospital from the emergency department. Clin Infect Dis 2010; 50: 814-820.
要約: 内科的に治療した敗血症患者の,培養結果と臨床経過の関係とを検討した.211人の患者をエントリし,陽性の培養結果を示した例が45%,培養陰性が55%であった.培養陰性は敗血症の患者でよく見られ,臨床像は培養陽性患者とよく似ているが,中には副腎不全,AMI,肺塞栓,DKA,膵炎などと間違えてしまう例(noninfectious mimics)があり,敗血症と思い込んでしまうことに注意が必要である.
● 脾臓TAEの塞栓部位
文献: Schnüriger B, Inaba K, Konstantinidis A, et al. Outcomes of proximal versus distal splenic artery embolization after trauma: a systematic review and meta-analysis. J Trauma 2011; 70: 252-260.
要約: 鈍的脾損傷のTAEによる塞栓場所を,脾動脈本管と末梢側とではどちらが良いのかメタ分析した.両者の間で重大な合併症の発生率に有意差はないが,脾梗塞など手術を要しない程度の,マイナ(minor)な合併症の発生率は,末梢側塞栓群に多かった.
2011年2月21日
● エアトラックと挿管
文献: Trimmel H, Kreutziger J, Fertsak G, et al. Use of the Airtraq laryngoscope for emergency intubation in the prehospital setting: a randomized control trial. Crit Care Med 2011; 39: 489-493.
要約: Airtraq喉頭スコープの有用性を調べた.前向きのRCTを行った所,普通の喉頭鏡を使う対照群の方が成功率が高かった(99% vs 47%, p<0.001).
● 喫煙と歯周病
文献: Chu YH, Tatakis DN, Wee AG. Smokeless tobacco use and periodontal health in a rural male population. J Periodontal 2010; 81: 848-854.
要約: 喫煙と歯周病との関係は以前から指摘されているが,噛みタバコなど無煙の喫煙が歯周の健康に及ぼす影響についてはよくわかっていない.そこで調べてみた.
● PADの調査
文献: Kitamura T, Iwami T, Kawamura T, et al. Nationwide public-access defibrillation in Japan. N Engl J Med 2010; 362: 994-1004.
要約: Public access AEDについて,全国規模の調査を行ったので報告した.
2011年2月14日
● 腹部血管損傷
文献: Paul J. Intraabdominal vascular injury: are we getting any better? J Trauma 2010; 69: 1393-1397.
要約: この20年で死亡率は改善していない.新しく得られた知見はない.
● SAHの造影CT
文献: van der Zande JJ, Hendrikse J, Rinkel GJE. CT angiography for differentiation between intracerebral and intra-sylvian hematoma in patients with ruptured middle cerebral artery aneurysms. Am J Neuroradiol 2011; 24: Epub ahead.
要約: MCA動脈瘤の破裂によるSAHは,特に脳内やシルビウスで血腫形成すると,単純CTでは(脳出血と)区別が難しい.CTアンギオをして,血腫内造影血管が見られれば,診断価値が高いと思われるので調べてみた.
2011年2月7日
● 足関節の診察
文献: Eggli St, Sclabas GM, Eggli Si, et al. The Bernese ankle rules: a fast, reliable test after low-energy, supination-type malleolar and midfoot trauma. J Trauma 2005; 59: 1268-1271.
要約: 足関節の診察でレントゲン撮影を撮るか否か決める方法にオタワルールがあるが,今回ベルン(スイス)の方法を考案したので調べてみた.
2011年1月24日
● 渡航後下痢
文献: de Saussure PPH. Management of the returning traveler with diarrhea. Ther Adv Gastroenterol 2009; 2: 367-375.
要約: 旅行者の下痢は,急性と遷延性の2つに分けられる.急性の下痢は感染性が多く,対症療法と抗菌薬投与が必要となる.
● 研修医の尿量
文献: Solomon AW, Kirwan CJ, Alexander NDE, et al. Urine output on an intensive care unit: case-control study. BMJ 2010; 341: c6761.
要約: ICUの研修医と彼らの受持患者の時間尿量を比較した所,シフト中の研修は乏尿になり易く,RIFLE分類が担当患者よりも悪い傾向が観察された.シフト中の研修医はしっかり水分を補給して,乏尿を防ぐ必要がある.
2011年1月17日
● 禁煙と子供の喘息
文献: Mackay D, Haw S, Ayres JG, et al. Smoke-free legislation and hospitalizations for childhood asthma. N Engl J Med 2010; 363: 1139-1145.
要約: 禁煙にすると,バーで働く人の呼吸器疾患が減るデータを以前報告したが,より広い範囲への効果を検討するために,公共の場での禁煙法が,子供の喘息発症に及ぼす影響を調査した.すると法の施行後,喘息で入院する子供の数が,年に18%も減って統計学的に有意であった(p<0.001).禁煙にすると,職場や公共の場でタバコに曝露されることの少ない子供の健康にまで,良い影響が出るようである.
● ワルファリン再開と脳出血
文献: Majeed A, Kim YK, Roberts RS, et al. Optimal timing of resumption of warfarin after intracranial hemorrhage. Stroke 2010; 41: 2860-2866.
要約: 脳出血患者を対象に調査し,ワルファリンの内服再開と出血再発のリスクおよび,ワルファリン中断期間と脳梗塞発症のリスク分析を行った.脳出血を発症したワルファリン内服患者をフォローしたところ,177人の内59名がワルファリンの服用を再開しており,再開時期の中央値は発症後5.6週であった.脳出血の再発と脳梗塞発症の複合リスクが最も低くなる服薬再開時期は,発症から10-30週後であると結論づけられる.
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