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第9回「Clinical Prediction Ruleについて」

Clinical Prediction Ruleについて

「急に38度以上の発熱を認めた患者さんを診たら、全例に血液培養を採りますか?」と質問されたら、当救命救急センターのスタッフの多くは「全例ではない」と答えるはずです。38度以上の高熱でも血液培養結果は陰性っぽい患者さんがいますよね。悪寒がないとか、インフルエンザキット陽性だったとか・・・。

この“何となく陰性だと思う”という感覚をもう少し理論的に説明するもの、つまり血液培養を行わない根拠を明確にするもの、そういった臨床予測手段をclinical prediction ruleと呼ぶそうです。

たとえばAPCHEⅡスコアも、重症度をスコアリングして生命予後を算出するためのclinical prediction ruleです。しかし、実際の計算はとても仰々しく、あわただしい臨床現場においてPCやPDAを用いて計算する暇は無く、結局、臨床的「勘」に頼ることが多い現状です。

従来、clinical prediction ruleを作成する際は、年齢や体温など多くのパラメターを横一列に並べ、各パラメターのインパクトに応じた重み付け係数をかけて、最後にすべて足し算するといった手法(ロジスティック回帰分析)が行われてきました。

(例)Z score = 6a-5b-4c+4d+3e+2f-5

しかし、「血液培養を行うべきか否か」といった単純な臨床決断を行うとき、そういった複雑な計算式をいちいち実行するのは現実的ではありません。ここで、別の解析法、つまり2進再帰分割法(Decision Tree)がよりシンプルかつ確実ではないか、ということで、2005年、沖縄中部病院から報告されたDecision Treeの例を以下に示します。Decision Treeとはyesかnoで進んでゆく意思決定樹のことです。

Tokuda Y., Miyasato H. and Stein G.H. (2005) A simple prediction algorithm for bacteraemia in patients with acute febrile illness. QJM 98, 813-820.

イメージ

ここでいう2段目のPhysicians’ Diagnosis of Low Risk Infective Siteというのは、急性咽頭炎、急性気管支炎、急性下痢症、急性ウイルス感染、PID、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、非感染性炎症を指すそうです。

このDecision Treeによると、悪寒(Chills)がなくて脈拍数が120以下なら血液培養を必要ない、となります。シンプルですね。また、同じ論文に「labo dataを利用できる環境なら」という設定があり、その際のTreeは、

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となり、この場合、例えば悪寒がなくてCRPが10mg/dl以下なら血液培養は不要ということになります。これもシンプルですね。

本編中の検討によると、最初のTreeの感度は87.5%、誤分類率1.4%、negative predictive value=98.6%で、2つ目のTreeは感度92.5%、誤分類率0.9%、negative predictive value=99.1%だったそうです。驚くべき精度です。

多くのパラメターを削除して、どうしてこのようなシンプルかつ精度の高いDecision Treeができるのかというと、「樹木を育て、それを効果的に剪定する」というコンピュータプログラムの存在があります。プログラムの詳細は常人の理解できないところですが(笑)、高度な統計ソフトにはすでに「Decision Tree」の機能が搭載されているので、基本原理さえ理解すれば利用可能です。

今後、この2進再帰分割法はロジスティック回帰分析の弱点を補う形で我々の日々の臨床に応用されることになりそうなので注目に値します。
文責:新井隆男

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