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第2回「失神(Syncope)その2」

失神の3大原因

以下に挙げる失神は救急外来においてもよく遭遇するもので、中でも心血管性失神は要注意です。
  1. 心血管性失神
  2. 起立性低血圧
  3. 神経調節性失神
1.心血管性失神
不整脈や弁膜症や心筋症などの器質的心疾患に起因する失神です。失神全体の約10%程度の頻度といわれていますが、生命予後が悪く要注意です。
  • 前駆症状がない
  • 仰臥位発症、労作時発症
  • 失神前に胸痛、動悸、息切れを伴った場合
  • 65歳以上
  • 心疾患のリスク(心不全)のある患者
  • 突然死の家族歴
  • 心電図異常
などが認められた場合、特に注意が必要です。肺梗塞の10%は失神を主訴として来院するそうです。具体的な疾患名としては、以下のようなものがあげられます。

不整脈によるもの
  • 洞不全症候群
  • 房室伝導障害
  • 心室性頻拍、発作性上室性頻拍
  • 遺伝性疾患(QT延長症候群、Brugada症候群)
  • 薬剤誘発性
  • ICD、ペースメーカー不全
器質的循環器疾患によるもの
  • 虚血性心疾患
  • 弁膜症-大動脈弁狭窄症
  • 急性大動脈解離
  • 閉塞性肥大型心筋症
  • 心膜疾患
  • 左房粘液腫
  • 肺塞栓症(血圧低下・頻呼吸・SpO2低下・D-dimer高値)
  • 肺高血圧症

2.起立性低血圧
仰臥位から立位へと変換すると、心臓への還流血液量が30%減少し、心拍出量の減少・体血圧低下が生じます。健常者の場合、こうなると圧受容器反射系が賦活化され(反射的に)血圧を保つことが出来ますが、この反射系の異常や、純粋に循環血液量の減少している状態では血圧を保てなくなり、最終的に脳血流量の低下を招き、失神を起こしてしまいます。つまり循環血液量減少+立位(or坐位)による失神です。これは立位(or坐位)になって数分以内に血圧が下がります。血管拡張により相対的に循環血液量が減少した場合もこれに含みます。具体的な疾患・病態としては以下のようなものがあげられます。

循環血液量減少
  • 消化管出血
  • 脱水
血管拡張による相対的循環血液量減少
  • アナフィラキシー
  • 降圧薬、硝酸薬などの薬剤、アルコール

3.神経調節性失神
神経の循環器系への調節異常によって起こります。大雑把な分類では、(1)長時間の立位や暑い人ごみの中での失神(血管迷走神経反射性失神)、(2)頭部回旋、髭剃りなどによる失神(頚動脈洞症候群)、(3)排尿、排便、咳による失神(状況失神=situational syncope)、(4)立位による頻脈性失神(post-orthostatic-tachycardia symcope=血圧の低下がない失神)、(5)自律神経失調症、などに分けられます。他に、疼痛、驚愕、怒り、予測外の視覚・聴覚刺激などが誘引となります。アルコールや睡眠薬を服用した状態や食後(食後性失神という)は血管迷走神経反射が起こりやすいといわれています。誘引となる基礎疾患としては以下のようなものがあげられます。

自律神経障害
  • パーキンソン病
  • 糖尿病性神経症

その他の失神の原因

  • クモ膜下出血
  • 鎖骨下動脈盗血症候群(血管異常による失神)
    クモ膜下出血では動脈瘤の破裂に伴いクモ膜下腔に血液が流出することにより脳圧が亢進し、全脳性の虚血に陥り失神をきたします。血腫の量が比較的少なく、すぐに脊髄腔などにwash outされた場合はすぐに脳圧も回復して意識も戻ります。また、鎖骨下動脈盗血症候群では左腕の運動(血流増加)に伴い全脳の虚血に陥り、失神をきたします。

失神と区別するべき疾患

  1. てんかん
  2. 低血糖
  3. TIA
前述のごとく、これらは全脳の虚血による意識障害ではないので、失神とは区別します。てんかんは一般に失神より意識障害や痙攣の持続時間が長く(3〜5分以上)、来院時の乳酸アシドーシスも鑑別の役に立ちます。てんかんを疑った場合は、必要なら繰り返し脳波を測定して確定診断を行います。以前、小学校の朝礼中に一過性の意識消失発作を起こして来院された患者さん(女児)が、約3〜5分間痙攣を起こしていた(周囲の証言)とのことで脳波検査を行ったら典型的な“spike and wave”が頻発しており、初発のてんかん発作ということで小児科にお渡ししました(抗てんかん薬内服を開始したそうです)。こういったことからやはり「詳細な情報収集」が大切だと実感しています。

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